90日改善計画(BUILD/UP)とは、目標から逆算して「今週やること」に落とすための、テマヒマ独自のマーケティング改善フレームです。 「マーケが進まない」「何から手をつけていいか分からない」と止まっている中小企業の経営者・責任者の方に向けて書いています。 読み終えたとき、自社の90日計画が3ステップで描ける状態を目指します。


90日改善計画(BUILD/UP)とは何か

90日改善計画(BUILD/UP)とは、マーケティング改善を「土台を整える30日(BUILD)」と「数字を伸ばす60日(UP)」に分け、合計90日を1サイクルとして回す改善モデルのことです。

BUILD(ビルド)は、家でいえば基礎工事に当たる期間です。顧客理解・訴求・計測といった、施策の精度を支える土台を1ヶ月で整えます。UP(アップ)は、その土台の上で施策を走らせ、データと仮説の往復で数字を伸ばす60日です。

90日が終わったら、そのまま次の90日サイクルに入ります。1年で4サイクル、勝ち筋が安定するまで回し続けます。これがBUILD/UPの基本構造です。

このフレームを使う目的は1つです。「やみくもに施策を増やす」のをやめて、「優先順位を決めて1要素ずつ進める」状態を作ることです。中小企業のマーケティングが進まない原因は、施策の数や予算ではなく、優先順位の問題であることがほとんどです。


なぜ90日なのか:短すぎ・長すぎの罠

「マーケティング計画は1年単位で立てるもの」とイメージしている方が多いかもしれません。ですが、中小企業の現場でそれをやると、ほぼ確実に途中で形骸化します。

理由ははっきりしています。1年計画は、数字が動かない期間が長いからです。3ヶ月経って手応えがないと、計画書を見直す気力が失せます。半年経つ頃には、もう誰も計画書を開かなくなります。

では、30日では足りるのか。これも難しい。30日では仮説検証ができません。土台を作るだけで終わってしまい、肝心の「数字を伸ばす」段階に入る前にサイクルが切れてしまいます。

90日は、目標設定→実行→振り返りが1サイクル回る最短単位です。中小企業の集中力・予算サイクル・経営者の関心の持続時間にも合います。多くの中小企業が四半期単位で経営を見ているリズムとも、自然に重なります。

もう1つ大事な観点があります。90日は「途中で軌道修正できる」サイクルです。30日のBUILDが終わる時点で計画を見直し、最初のUPフェーズが終わる60日目でもう一度見直す。仮説と現場のズレを2回修正できるリズムが90日です。


BUILD/UPの全体像

BUILD/UPは大きく3フェーズに分かれます。全体像を表で押さえてください。

フェーズ期間目的主な活動成果物
BUILD1〜30日土台を整える顧客理解 / 訴求整理 / 計測設計ペルソナ・USP・GA4設定一式
UP-131〜60日数字を出し始める1つの施策に集中投入初回CV・初動データ
UP-261〜90日仮説を回すデータと仮説の往復・改善改善後の数字・次サイクル計画

BUILDは「数字を出さない期間」と割り切ってください。土台を作らずにUPから入ると、数字が出ても何が効いたか分からなくなります。これは現場でよく見る失敗の典型です。

UP-1とUP-2は分けて運用するのが鉄則です。UP-1は施策を走らせて「初動データ」を取る期間。UP-2はそのデータを材料に改善を回す期間。同じ「数字を伸ばす」でも、やることが違います。


BUILDフェーズ(1〜30日)の進め方

BUILDの30日でやることは、3つだけです。順番も決まっています。

1. 顧客理解を埋める(Day 1〜10)

最初の10日は、顧客理解に充ててください。

ここでつまずく会社は、ほぼ例外なく次の段階でもつまずきます。「誰に売るか」が曖昧なまま訴求を作っても、訴求はぼやけます。ぼやけた訴求でLPを作っても、CVRは上がりません。土台が緩いと、上に何を積んでも崩れます。

顧客理解で押さえるのは2つです。1つは「誰が買っているか」。もう1つは「なぜ買っているか」です。整理する観点が違うので、分けて書きます。

「誰が」=外面と内面の両方を埋める

「誰が」は、外面と内面の2層で整理してください。外面だけだと、ペルソナは紙の上でしか動きません。

外面(客観的な属性)

性別・年齢・職業・役職・年商規模・所在地など、データで取れる属性です。1枚にまとめて、社内で「うちのお客様はだいたいこういう方」と共有できる状態を作ります。

内面(その人の頭と心の中で起きていること)

ここが本丸です。同じ「40代・経営者・年商3億」でも、内面はバラバラです。内面の解像度が、訴求の鋭さを決めます。

整理する観点は、最低でも次の6つです。

  • 何が課題か:今、目の前で起きている困りごと
  • どう解決したいか:理想的にはどう片付いてほしいか
  • なぜ解決したいか:解決した先にどんな状態を望んでいるか
  • 何が理想か:1年後・3年後にどうなっていたいか
  • 何から逃れたいか:今のままでいることの怖さ・痛み・損失
  • その理由:なぜそれを「逃れたい」と感じているのか(過去の体験・社内のしがらみ・個人の信念など)

「課題」だけ書いて満足する会社が多いです。ですが、人が動く本当の理由は「逃れたいもの」と「その理由」に隠れています。「業務効率化したい」は課題、「夜まで残業して家族と過ごせない生活から抜け出したい」が逃れたいもの、です。後者まで言語化できると、訴求が一気に深くなります。

これを最低3人、できれば5人の既存顧客にヒアリングしてください。ヒアリングでは「困っていたことは?」だけでなく「もしそのままだったら、どうなっていたと思いますか?」を必ず聞いてください。逃れたかったものが、その答えに出てきます。

ヒアリングが難しい場合は、過去の問合せフォームの自由記述欄を読み直すだけでも発見があります。「なぜ問い合わせたか」を書いてもらっている会社は、宝の山を抱えています。

「なぜ買っているか」=購買の決め手を3層で整理する

「なぜ買っているか」は、購買心理ではなく、購買に至った決定要因 で整理します。お客様の頭の中ではなく、商品とお客様の間で何が起きて契約に至ったか、です。

整理するのは次の3層です。

  • 価値:商品・サービスが、どんな課題をどう解決すると約束しているか。Before/Afterの変化として書ける形が望ましい
  • オファー:価格・保証・納期・特典・支払い条件など、買う時の条件設計
  • 信用:なぜ「他社ではなくこの会社から」買えたのか。実績数・第三者証言・代表の発信・既存顧客の紹介など

CVRが上がらない時、多くの会社は「価値」だけを磨きます。ですが、現場で見ていると、決め手は「信用」のことが多いです。「同業他社で導入実績がある」「代表が顔と名前で発信している」「お客様の声が具体名で載っている」。こうした信用の積み重ねが、最後の一押しを作ります。

価値・オファー・信用の3層が揃って初めて、「なぜ買ったか」の説明が完成します。1枚にまとめて、UPフェーズで広告・LP・サイトに反映できる状態にしてください。

2. 訴求(USP・ベネフィット)を1枚にまとめる(Day 11〜20)

顧客理解ができたら、次の10日で訴求を1枚にまとめます。

ここでよくある失敗が、「特徴」を並べてしまうことです。「業界10年」「実績○○件」「専門スタッフ多数」は特徴です。お客様にとってのベネフィットではありません。

特徴とベネフィットの違いはシンプルです。特徴は「自社が持っているもの」、ベネフィットは「お客様が手に入れる状態」です。「業界10年」は特徴。「初めて頼んでも、判断ミスを避けて発注できる」がベネフィットです。

訴求を1枚にまとめる時のフォーマットは、こうしてください。

  • 誰のための:対象顧客を1行で
  • 何を解決する:解決する課題を1行で
  • どうなる:Before/Afterの変化を1行で
  • なぜテマヒマか:競合と何が違うかを1行で

A4 1枚に収めるのがコツです。1枚に収まらない訴求は、まだ整理が終わっていません。1要素ずつ削って、最後に残ったものが本当の強みです。

3. 計測設計(Day 21〜30)

BUILDの最後の10日は、計測設計に充ててください。

「測れない施策は改善できない」というのが、マーケティングの原則です。UPフェーズに入ってから「あれ、これってどう測るんだっけ」と慌てる会社は、データと仮説の往復ができません。BUILDの段階で計測を整えておくのは、後の60日の生産性を決めます。

最低限揃えるのは、次の4つです。

  • GA4の基本設定とCVイベントの実装
  • Search Consoleの接続(オーガニック施策をやるなら)
  • 広告管理画面のCV計測(広告施策をやるなら)
  • UTMパラメータの命名ルール(複数チャネルを使うなら)

ここで完璧を目指す必要はありません。むしろ完璧主義になりすぎると、BUILDが30日で終わらなくなります。「次の60日で最低限見たい数字が見える状態」を目標にしてください。


UPフェーズ(31〜90日)の進め方

土台ができたら、いよいよ数字を伸ばす60日に入ります。UPフェーズの原則は3つです。

1. 最初の30日は1つの施策に集中投入する(Day 31〜60)

UP-1のルールはシンプルです。1つの施策にだけ集中投入してください

「広告」「SEO」「LP改善」「メルマガ」など、複数同時に走らせたくなる気持ちは分かります。ですが、複数同時に動かすと、数字が動いた時に何が効いたのか分からなくなります。因果が見えなければ、次の打ち手は決められません。

どの施策を選ぶかは、次の優先順位で考えてください。

  1. すでに数字が出ている施策の改善(伸ばしやすい)
  2. 顧客に最も近い施策(LP・問合せフォームなど、CVに直結する場所)
  3. 土台が整って初めて効く施策(訴求整理後の広告など)

新規施策をいきなり立ち上げるより、すでに動いている施策の精度を上げる方が、90日で見える成果が出やすい傾向にあります。「やめる施策」も同時に決められると、リソースが集中します。

2. 数字が出始めたら仮説を回す(Day 61〜90)

UP-2は、UP-1で取れた初動データを材料に、仮説と改善を回す30日です。

週1回のリズムを作ってください。月曜の朝に先週の数字を見て、何が動いて何が動かなかったかを言語化し、次の1週間でテストする仮説を決める。これを4週繰り返します。

UP-2で最低限見るべき指標と、把握に使うレポート

仮説を回すためには、毎週同じ指標を同じ場所で見る習慣が必要です。最低限押さえてほしいのは、次の5観点です。

観点最低限見る指標主に使うレポート / 画面
流入チャネル別セッション数、新規 / リピート比率GA4「トラフィック獲得」レポート
接客主要ページの滞在時間・離脱率・スクロール深度GA4「ページとスクリーン」+ ヒートマップツール
CVCV数、CVR、CVに至った経路GA4「コンバージョン」レポート + 「経路探索」
コスト効率CPA、ROAS(広告施策がある場合)広告媒体管理画面(Google広告 / Meta広告など)
ファネル流入 → 主要ページ到達 → CV の各段階の歩留まりGA4「探索」のファネルレポート

理想は、これらをLooker Studio などで1枚のダッシュボードに集約することです。毎週バラバラの画面を開いて数字を拾うやり方だと、週次レビューに1時間かかります。ダッシュボード化できていれば、同じ作業が10分で終わります。

完璧なダッシュボードを最初から作る必要はありません。BUILDで仕込んだGA4の基本設定があれば、まずは標準レポートをブックマークしておくだけでも十分です。ダッシュボード整備は、UP-2を1サイクル回しながら、足りない指標を見つけて足していくのが現実的です。

仮説を立てる時のフォーマット

数字を見たら、必ず仮説に落としてください。仮説のないまま動くと、結果が出ても判定できません。

  • 観察された事実:数字や行動の変化を1行で
  • 想定される原因:なぜそうなったかの仮説を1行で
  • 検証する打ち手:仮説を確かめるための具体策を1行で
  • 判定の基準:何が起きたら成功・失敗と判断するかを1行で

「データと仮説の往復」とよく言いますが、ポイントは「往復」です。データを見ただけで動くと当たりません。仮説を立てただけで動くと外します。データから仮説、仮説から打ち手、打ち手の結果からまたデータ。この行ったり来たりが、改善のリズムを作ります。

週次レビューで陥りがちな失敗があります。先週やったことを並べて「やった/やってない」を確認するだけで終わってしまうパターンです。これは作業確認であって、仮説検証ではありません。週次レビューで本当に時間をかけるべきは、「先週立てた仮説は当たったか・外れたか」を、数字を見ながら言語化することです。当たれば次の仮説に進む、外れれば「なぜ外れたか」を考えて新しい仮説を立てる。この1往復を毎週やるだけで、90日後の景色は全く変わります。

3. 次サイクルの計画に繋ぐ(Day 86〜90)

90日サイクルの最後の5日は、振り返りと次サイクルの計画に充ててください。

振り返りで言語化するのは、3つだけで十分です。

  • 何が効いたか(続ける施策)
  • 何が効かなかったか(やめる施策)
  • 次の90日で何を試すか(新しい仮説)

「やめる施策」を決めるのが、特に大事です。続ける施策を増やすだけだと、リソースが分散します。中小企業のマーケティングで成果を出す会社は、ほぼ例外なく「やめる施策」を決められる会社です。

「やめる」と言っても、完全停止である必要はありません。「優先度を下げる」「自動配信のみに切り替えて手を入れない」「次のサイクルでは投資判断を留保する」など、現実的な落としどころを選んでください。やめると決められないまま継続している施策は、誰も改善せず、誰も止めないまま、リソースだけを静かに食い続けます。これがマーケティング部門の生産性を下げる一番の原因です。


「今週やること」への分解手順

90日計画を作っただけでは、現場は動きません。これを「今週やること」に分解して、初めて動き出します。

分解の時に確認するのは、次の5つの問いです。チェックリスト形式で、毎週の月曜朝に通してください。

  • [ ] 今週終わりに「何が分かっていればいい」かが言語化されているか
  • [ ] その問いに答えるために必要なデータは取れるか
  • [ ] 今週着手する施策は1つに絞れているか
  • [ ] 来週のレビューで誰が何を見るか決まっているか
  • [ ] 90日後の目標との距離を毎週確認する仕組みがあるか

5つすべてに「はい」と答えられない週は、月曜のうちに修正してください。週の途中で「今週何やってたんだっけ」になる会社は、月曜の整理に時間をかけていません。

特に1番目の「何が分かっていればいい」を言語化するのが効きます。「LPのCVRを上げる」は目標であって、今週の問いではありません。「ファーストビューのコピーを変えたら、滞在時間がどう変わるか」が今週の問いです。問いを書き出すと、必要な計測と打ち手が自動的に決まります。

逆に言えば、問いが書けない週は、まだ動くべきではありません。問いがないまま手を動かしても、結果が出たかどうかを判定できません。判定できない打ち手は、改善のサイクルに乗りません。月曜の30分で問いを書く時間を、必ず確保してください。担当者が1人の場合は1人で。チームの場合は、月曜朝の定例の最初に、全員で問いを共有してから動く。これだけで、1週間の生産性は別物になります。


マイルストーン設計:30/60/90日でこうなっていれば成功

抽象的な目標だけだと、迷子になります。具体的なマイルストーンを置いてください。下の表は、テマヒマで支援する事業者によく使う雛形です。

Dayフェーズマイルストーン主な成果物
Day 30BUILD完了顧客理解 + 訴求 + 計測の土台完成ペルソナ1枚・USP1枚・GA4設定一式
Day 60UP-1完了主施策の初動データ取得初回CV30件以上・離脱箇所の特定
Day 90UP-2完了改善後の数字と次サイクル計画CVR改善幅・次90日計画書

Day 30で「土台が終わった」と言えるかどうかが、最初の関門です。終わっていない場合は、UPに入らずにBUILDを延ばす判断もありです。土台が緩いままUPに入ると、後で必ず戻ってきます。

Day 60の「初回CV30件以上」は目安です。事業規模で調整してください。重要なのは「数字を語れる量のデータが取れているか」です。CV3件では仮説検証ができません。最低でも10件、できれば30件取れる状況を作ってください。

Day 90で大事なのは「数字」より「次の計画」です。改善した数字を見て満足するだけでなく、次の90日で何を伸ばすかを書き出してから、サイクルを閉じてください。


テマヒマ/平岡の視点

BUILD/UPは、私が現場で何度も「マーケが進まない会社」を見てきた経験から作ったフレームです。

進まない会社に共通するのは、施策の数の少なさではありません。むしろ逆で、施策を増やしすぎて何が効いているか分からなくなっているケースがほとんどです。広告も回す、SEOもやる、メルマガも書く、SNSも更新する、LPも作り直す。気持ちは分かります。ですが、全部同時に動かすと、結果が出ても「何が効いたか」が分からなくなります。何が効いたか分からないと、次の打ち手も決められません。

BUILD/UPの一番大事な機能は、「やめる施策を決めやすくする」ことです。BUILDで土台を作り、UPで1つに絞って結果を見る。このリズムができると、自然と「これはやめてもいい」「これは続ける」が見えてきます。

別の角度から言えば、「焼畑営業」を脱出する構造でもあります。新規施策ばかりを追いかけて疲弊する会社が、土地を耕して育てる会社に変わっていくプロセスが、BUILD/UPです。新規施策は派手で気持ちがいい。ですが、土台を育てない畑からは、何度植えても収穫は痩せていきます。

もう1つ、現場で見えてきたことがあります。BUILD/UPがうまく回る会社は、「迷わせない」が体に染み込んでいる会社です。お客様を迷わせないために訴求を1枚にする。担当者を迷わせないために「今週やること」を1つに絞る。経営者を迷わせないために、90日後のマイルストーンを最初に置く。「迷わせない」は、お客様向けの言葉だと思われがちですが、社内のマーケティング運用にも同じくらい効きます。

中小企業のマーケティング現場でよく起きるのは、最初の90日サイクルで「データを見るリズム」がようやく整い、2サイクル目から数字が動き始めるパターンです。最初の90日は、土台と習慣を作るための投資期間だと割り切ってください。

もう一点、現場で繰り返し感じていることがあります。90日サイクルが回り始めると、経営者と現場担当者の会話の質が変わってきます。「今月どうだった?」という曖昧な振り返りから、「先週の仮説は当たった?」「次のサイクルでやめる施策はどれ?」という具体的な対話に変わります。BUILD/UPは、マーケ施策のフレームであると同時に、社内のコミュニケーションを整える仕組みでもあります。経営者が現場の数字を語れるようになる、現場が経営の優先順位を理解できるようになる。これは、フレームを導入した副次的効果として、ほぼ全社で起きます。


BUILD/UPでつまずきやすい3つのポイント

最後に、現場でよく見るつまずきを共有しておきます。先に知っておけば、避けられます。

1. BUILDが終わらない(完璧主義の罠)

一番多いのが、これです。「ペルソナをもっと詳しく」「計測をもっと精緻に」と完璧を目指して、30日では終わらない。気づくと60日経って、まだUPに入れていない。

BUILDの30日は、「次の60日で最低限見たい数字が見える状態」を目標にしてください。完璧でなくて構いません。UPで動き始めれば、足りない情報は走りながら埋まります。BUILDで完璧を目指すと、UPに入る前に力尽きます。

判断のコツを1つだけお伝えします。「これがないとUPに入っても数字が見えない」ものだけを、BUILDで仕上げてください。「あったら便利」「精度を上げるために」と思った情報は、UPの最中に必要になったタイミングで追加すれば十分です。BUILDは「網羅」ではなく「最小実用」を目指す期間だと、最初に握ってください。

2. UPで施策を増やしすぎる(因果が見えなくなる)

2つ目のつまずきは、UPで欲が出ることです。最初に決めた1施策に集中するはずが、「これもやった方がいい」「あれも追加で走らせよう」と増えていく。

UP-1の30日は、必ず1施策に絞ってください。1施策で動いた数字が見えてから、UP-2で次を追加する判断をしても遅くありません。1施策で結果が見えない状態で2施策目を追加すると、データがノイズだらけになります。

3. 90日後の振り返りをしない(次サイクル計画が立たない)

3つ目は、振り返りを飛ばすことです。Day 90で「今期はこれくらい数字が動いた」で終わって、次サイクルの計画を立てないまま、Day 91から漫然と新しい90日が始まる。

これをやると、90日サイクルが「ただの3ヶ月」になります。サイクルを区切る意味は、振り返って次を設計するためです。Day 86〜90の5日は、振り返りと次サイクル計画のために必ず確保してください。1日ずつ、5日かけるくらいでちょうどいい量です。


よくある質問(FAQ)

質問回答
Q1. 90日より短い(60日や30日)で組んではダメですか?BUILD/UPの構造を維持できれば期間調整は可能です。ですが、UPの仮説検証は最低6週間欲しいので、30日では成立しません。60日に圧縮するなら、BUILDを15日に削ってUPを45日確保するのが現実解です。
Q2. 1人マーケでも回せますか?回せます。むしろ1人だからこそ、施策を絞る原則が効きます。複数人いるとつい施策を並列化したくなりますが、1人なら自然と1施策集中になります。BUILD/UPは1人マーケと相性のいいフレームです。
Q3. 代理店に依頼している施策はどう組み込みますか?代理店の施策もBUILD/UPの一施策として位置付け、週次レビューのリズムを揃えてください。代理店任せにせず、毎週の数字確認と仮説共有を依頼すれば、BUILD/UPに乗ります。
Q4. 90日サイクルは何回回せばいいですか?最低4サイクル(1年)で土台と勝ち筋が見えてきます。その後は事業フェーズ別に優先順位を見直しながら継続します。1サイクルでは、まだ「BUILD/UPに慣れる」段階です。
Q5. マーケGYMとどう関係していますか?マーケGYMはBUILD/UPを伴走する実装プログラムとして準備中です。本記事のフレームを使った週次伴走で、自社内にデータと仮説の往復のリズムを定着させる支援を提供する計画です。
Q6. すでに走っている施策があります。BUILD/UPに切り替えるには?既存施策を止める必要はありません。次の90日からBUILD/UPのリズムで運用することを社内で合意し、BUILDの30日で既存施策の数字を整理する流れにしてください。完全リセットではなく、運用リズムの上書きで足ります。
Q7. 90日で成果が出なかった場合、続けるべきですか?続けてください。90日サイクルは「成果を出す」だけでなく「学びを取る」サイクルです。1サイクルで成果が出なかった場合でも、何が効かなかったかが明確になっていれば、次サイクルの精度は確実に上がります。判断は3サイクル(9ヶ月)後でも遅くありません。

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著者情報

平岡 大輔

株式会社テマヒマ 代表取締役 / マーケGYM主宰

事業会社と支援会社の両方で、20年以上マーケティングの現場を経験。著書『売れるランディングページ改善の法則』など、現場で培った判断基準をもとに発信しています。

20年以上の実務経験 LP100本以上の制作・改善 事業会社・支援会社の両側を経験
平岡大輔

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